「中華そば(醤油)」
子供の頃、家の近所に来ていた夜鳴きそばを思い出した。
夕食や風呂も済んで寝ようかという時間あたりだったか、ラッパの音が聞こえてくる。母から許しが出るとお金をもらいラーメン丼とお盆を持って屋台へ向かう。ラップでぴっちりと覆ってもらい落とさぬよう慎重に運んで帰る。
昔の遠い記憶で定かではないが、あの頃のラーメンをそのまま食べることができたとしても、「懐かし〜」といった感動はあっても、すごく美味しいのかというと疑わしい。
絶対にこのラーメンのほうがずっとグレードが高くて間違いなく美味しいはず。
たくさんのこだわりも貼ってある。
それでも口に運ぶ度に沸き上がる夜鳴きそばの記憶。
店頭の看板に「個性や流行ではなく」とある。
無化調だけどしっかりとした旨味が出ている。麺は手揉み平太でチュルもち。
昔はふた口ほど味見した後、S&Bの赤フタのテーブルコショーをたっぷりかけていた。子供の頃から刺激物好きだったことも再認識。この日は半分ほど食べたところで、ミルに入ったホールのブラックペッパーを擦る。実家の食卓やら丼の柄やら、さらに細かい記憶がよみがえりちょっとノスタルジア。
昔ながらの味わいを守りながら、さらに洗練させてより美味しいものを実現できてるってすごいなとしみじみ。